2015.6.10 岩波ホール
監督:岡本みね子(故岡本喜八の妻・七六歳)
配役
小川市子=八千草薫
宮謙一郎画伯=仲代達也
市子の息子=風間トオル
その他;岸部一徳、竹下景子、
音楽:山下洋輔
第36回モスク国際映画祭特別招待作品のこの映画は、昔の記憶を支えに生きて来た老女市子の熱い想い出とともに
始まり、ひとのぬくもりに詩的なたゆたうような時間と感動を与える。
優れた芸術は、音楽にしろ絵画にしろ見る人に無限の人生讃歌を生み出させるものだ。
物語は市子が幼いころ、こころの通い合った少年と、想い出の水辺で誓いを立てたが、少年はその誓いを実現させ今は国際的な画家となっていた。
水辺の想い出は、彼の代表作たびに。60数年前の想いを
胸に秘め、軽井沢での宮謙一郎展を観ようと家族に告げず
、市子は旅に出る。毎日展示情を捜すが目的のえは展示されない。いちぶが毎日展示替えとなることに希望をもつ。
市子の執着が奇跡を起こす。毎日立ち寄る喫茶店主が宮謙一郎に逢わせるというのだ。市子は全てを隠して、今は盲目となっている宮画伯の自宅を訪れ一ファンとして逢い、画伯の居間に飾られている「想い出の絵」にみいる。宮にとっも最も大切な絵であったのだ。歓談し、二人はダンスを楽しむ。盲目の宮は市子の絵を描きたといい、触感で確かめる。
仲代達也の演技が光る。
別れの時が来て、市子は宮夫人(フランス人)に、水辺で少年が呉れた想い出の小石を手渡し去る。
夫人から渡された小石を手にして、すべてを理解した宮画伯は号泣する。
帰路迎えに来た息子に市子はいう。ゆずり葉はまだ生気があっても、若葉が出ると緑葉のまま落葉し土に戻るのヨと・・・
センチメンタルな物語を超えた、リアルな一つの人生を、76歳の岡本喜八夫人は再現させたと思う。八千草薫の味のある演技と山下洋介の音楽も良かった。いつまでも心に残る映画だ。
0 件のコメント:
コメントを投稿