出演: アンドレア・ロスト(Andorea Rost)
ピアノ:石野真穂
演題:
モーッアルト:「フィガロの結婚」より
愛の神よ
とうとう嬉しい時が来た~
恋人よ早くここへ
ドニゼッティ;「ドン・バスクワーレ」より
騎士はそのまなざしに
「愛の妙薬」より
さあ受け取って、あなたは自由よ
グノー;「ファウスト」より
宝石の歌
チレア;「アドリア―ナ・ルクヴォルール」より
私は創造の神のいやしい僕
プッチーニ;「トスカ」より
歌に生き、愛に生き
「トゥランドット」より
お聴きください、ご主人様
レオンカヴァッロ;「道化師」より
鳥の歌
プッチーニ;「蝶々夫人」より
ある晴れた日に
アンコール; 恋とはこんなものかしら(フィぷガロの結婚・ケルビーノ)
私のお父さん(プッチーニ:ジャンニ・スキッキ)
ハンガリー生まれの世界的マドンナのロストは、俳句の境地が好きだという日本びいきで、
<自分を日々省みることや、凝縮された美の感覚など、日本人とハンガリアンは似ています>
という。
世界の有名歌劇場ウィーン国立歌劇場・ミラノスカラ座・パリオペラ座・メトロポリタンオペラ座・コヴェントガーデン王立歌劇などをすべて制覇したこの人は、透明な高音と激しいドラマチックなココラトゥーラによりオペラの楽しさを味わせて呉れた。
私は久しぶりに声楽ソロリサイタルを聴いた感じがあり調べてみたら、海外アーチストでは2002年のR・フレミング以来聴いていないようだ。久しぶりにオペラに対する回想が蘇った。
さてプログラムの前半は、彼女の過去の名演奏で世界を驚かせた歌手人生のうちから、得意中の得意のオペラからの選りすぐったプログラムとなっている。
「フィガロの結婚」からの2曲はウィーン国立歌劇と専属契約を結ぶ契機となった因縁のオペラだ。
冒頭の伯爵夫人のアリア「愛の神よ」は、心が離れてしまった夫への哀しみの痛切な思いを清登なラルゴで聴かせ、「恋人よ、早くここへ」ではスザンナ役を唄った。
一曲目のあとで、会場の気分を和らげるためか、過去の出演で装置舞台を壊してしまった失敗談
をした。話し方も堂に入ったものだった。
ドニゼッティの2曲は、彼女の非凡さを感じ、「愛の妙薬」はメトロポリタンオペラのデビュー曲であり
しっとりとした感情を表現した。
。「トスカ」からの3曲にはじまる幕間後の後半は、変化した。私に専門的なことは解らないが、発声の音色・色艶が際立って聞こえ始めたのだ。「鳥の歌」「ある晴れた日に」「私のお父さん」は、圧巻であった。哀しみの仕草も、感情注入も見事であった。
因みにアンコール曲「私のお父さん」の歌詞は、
<ねえ!やさしいお父様、あのかたが好きなの、すばらしい、すばらしいかたよ。
ポルタ・ロッサ通りに行きたいの 愛の指輪を買いに!
もしあのかたを愛するのが無駄なことならばポンテ・ヴェッキオに行きます。
アルの川に身を投げに!恋が私の胸を燃やし 苦しめるの!
どうぞ神様、死なせてください!
お父様、どうぞ、どうぞお願いです!>
であるが、父親を騙すための歎きであることを巧みに詠っている娘の心情をも表現し、レヴェルの高さを感じさせた。
帰宅して、ルネ・フレミングで聴き比べた。オペラの醍醐味に浸った。
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