2015年5月1日金曜日

新ダヴィッド同盟演奏会を聴く

2014.11.2  水戸芸術館

演奏:新ダヴィッド同盟                

    ヴィオリン;庄司沙矢香
ヴィオリン;佐藤俊介
    ヴィオラ;磯村和英
    チェロ;クライヴ・グリーンスミス
    ピアノ;小菅優

演題:
    シューベルト;ピアノ三重奏曲第1番 変ロ長調 D898
    コダーイ:ヴィオリンとチェロのための二重奏OP7
    ブラームス;ピアノ五重奏曲ヘ短調OP34
     アンコール;ドヴォルザーク ピアノ五重奏曲イ長調OP81より

<一度は>と願っていた「水戸芸術館」に行った。招いて下さった家人の畏友に感謝しながら、いい音楽を鑑賞することができた。
まず磯崎新の設計は流石である。定員680席の小ホールであるが、舞台を囲んで扇状に客席が段々と繋がりゆったりとして音楽を聴ける。
初代館長は吉田秀和、現在は小澤征爾である。
新ダヴィッド同盟は、吉田秀和さんが、ロベルト・シューマンが夢想した架空の芸術グループの「ダヴィッド同盟の理念に共鳴し、同館の専属集団として結成した。今年で結成4年という。
旧約聖書のダヴィデにちなみ、<俗物に対抗し、新しい音楽の理想を確立しよう>というシューマンの気概は、吉田さんにも共通の願いであったと推測される。
さて、シューベルトのピアノ三重奏曲第1番は、私はWesteminster盤LPのスコダ、フル二エ、ヤニグロのトリオで聴きその明るい幸福感とロマンチックな情緒で満ちていて、好きな録音盤であった。

新ダヴィッドの三人は個性的なメンバーで、かなりの自己主帳をしたと思った。
「五重奏では、和を優先させるが、三重奏では自己主張は通常の事」と聞いたことがあるが、成程!と思った。

コ―ダイの曲は、ヴィオリンtおチェロという珍しい組み合わせで、自由な旋律を可能にしているようだ。彼はハンガリーの民謡を取り入れた曲を多く作曲したが、この曲もユニークな曲だ。主題の展開には奏者の高度な技術を感じた。私は初めてこの曲を聴いたが、現代抽象画を観る想いで聴き入った。

ブラームスの五重奏曲は、今日のプログラムで私が最も期待した曲であった。ブラームスはピアノ
曲を管弦楽風に作り、さらに交響曲まで発展させる手法をとった彼の音楽の特徴が表われて楽しい。ブラームスは、生涯で五重奏曲はこの一曲のみである。

この曲をクララ・シューマンの助言の基に作曲したが、クララは第4楽章の批評をブラームスに書き残している。(二人の関係については、拙稿「初めての緑」で詳述、「クララとブラームスの友情の書簡集」参照)

クララは「この曲は男性的な活気に充ちているが、難しい曲だ。私は精力的な演奏でなければ不明瞭に響くことを心配している。」と忠告している。

しかし、新ダヴィッド同盟は、精力的に、かつ活発に演奏した。最終章の輝く音の響きは、強い感動を与えるものであった。クララの心配を払しょくしたと思った。新ダヴィッド同盟には、最も適した曲だった。

帰路、水戸の千波湖の水面は、穏やかに夕霧に包まれていた。素晴らしい一日になったことに
感謝した。












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