2015年4月23日木曜日

N饗定期演奏会を聴く(1807回)

2015.4.22   サントリーホール


指揮者;ミヒャエル・ザンデルリング

ピアノ;ベルトラン・シャマュ

交響楽団;NHK交響楽団

演題

シューマン;ピアノ協奏曲イ短調OP。54

ブルックナー;交響曲第4番「ロマンチック」

「シューマンのピアノ協奏曲」が初演されたのは、愛妻クララのピアノによってであり、同伴者との共同作業で生み出された名曲となった。

第一楽章、冒頭有名な「クララの動機」が響く。第二楽章の「クララの動機」は、とりわけ美しく、シャマュは,淡々と弾いた。目を閉じて天井からの音響に聴き入るとショパンには無いような諦観に通じる哀愁を感じた。以前に書かれていた「幻想曲」を改訂したものという。

クララの日記には<やがてこの曲は聴衆を最高に満足させるに違いない。ピアノとオーケストラはこの上なく繊細に合し、お互いに片方なしには考えられない>と記している。

私にはシューマンは難解だが、彼の交響曲よりは、このピアノ協奏曲が好きだ。

私はブルックナーの「ロマンチック」は、ベーム指揮のウィーンフィル(1973年版)LPで聴いて来た。
ブルックナー自身がこの曲をロマンテックと名付け、「ロマン主義の白鳥の歌」と呼んだが、樋口隆一氏は<自然への憧れ、遠い昔への郷愁、神秘的な幻想が込められ、時代を超えて、私たちをそうした世界に誘ってくれる>と評する。

新しい楽想で盛り上がると思えば、再現部では寂しげな響きとなり、孤独な面を伺わせる。彼は俗世間から離れ音楽と信仰の生活を続けたのだった。
汚れのない無垢の音楽を感じるのは、第Ⅱ楽章の挽歌である。

70分に及ぶ長編だが、飽きず聴く歓びを味わった。さすがにアンコールなしで終わった。


0 件のコメント:

コメントを投稿