2015.4.12 サントリーホール
演題
シェーンベルク: 5つの管弦楽曲 OP16
ヤナーチェク: シンフォニエッタ
バルトーク: 管弦楽のための協奏曲
指揮
インゴ・メッツマッハー
ハンベルク交響楽団の首席客演指揮者を務め、特に近・現代音楽に情熱を注いでいる指揮者らしいプログラムであった。
演題の3曲はともに演奏回数が少ない曲で、私はヤナーチェクのシンフォニエッタは、村上春樹の「1Q08」でテーマ曲だったので知っていたが、シェーンベルクとバルトークは定かではなかった。
今後新日本交響楽団の専属指揮者となり、その初舞台でもあるので、期待が大きい。
1.シェーンベルクの「五つの管弦楽曲」
「予感」「過ぎ去ったもの」「和声の色調」「急転」「オブリガードの叙唱レチタティヴォ」の5つの標題がつけられて、シェーンベルクの生活の中で起こった妻との事件からの、彼の精神的内面が描かれている。
無調音楽は、十二音技法の体系的な理論もないというが、私は素晴らしいリズムの効果と豊かな旋律を感じた。
2.「シンフォニエッタ」は、勝利を目指して戦う現代人の精神的な美や歓喜を作曲したとされる。
金管のみで演奏される冒頭のファンファーレは真に心地良い。
3.バルトークはナチスから逃れるためハンガリーからアメリカに移住した芸術家だが、その生活は苦しいものだった。ボストン交響楽団の音楽監督出会ったクーセヴィツキ―の依頼で作曲した「管弦楽のための協奏曲」を、<過去50年を通して最高の傑作>とクーセヴィツキは絶賛した。
バルトーク特有の神秘的な音色の第1楽章、第3楽章のハンガリー民謡のエレジーは懐かしく、
終楽章のトランペットは力強い音量と高揚感に満ち、音楽を聴く私に暖かい幸福感を感じさせた。、
3曲に共通した無調音楽は、世紀末ウィーン時代の絵画にみられる革新主義者クリムトや、マーラーに見られるように装飾を剥ぎ取り真の姿をさらけ出そうという主張と重なり合っている。
そんな事を想像させながら、現実の屈折した日々に対し、鬱憤をはらしたような気持になった。
新指揮者のメッツマッハ―は今後も面白い音楽を聴かせてくれそうな気がした。
0 件のコメント:
コメントを投稿