2015.2.26 すみだトリフォニーホール
指揮者:ラルフ・ワイケルト
演奏:新日本フィルハーモニー交響楽団
演題:ブラームス 交響曲第1番ハ短調OP.68
指揮者ラルフ・ワイケルトは、1965年ニコライ・マルコ指揮コンクール優勝、1975年にはカール・ベーム賞を授けられ、以後ヨーロッパで、各種の音楽監督を務めている。
舞台袖から出て来たワイケルトは、ジーンズの上は、右の写真のような赤いセータ姿で、お洒落な人のようだ。
約2時間、ブラームスに聴き惚れた。明日、明後日の
本演奏の仕上げだ。彼の指揮棒は、全く無駄を感じさせず、的確に指示する。途中10回ほどやり直しをさせたが、満足気に終わった。
私はブラームスの内面に存するメランコリックな情緒から生み出される柔らかい感触が好きだ。
ブラームスはこの交響曲のために21年の歳月を費やした。22歳で下書きにかかり、43歳で完成した。
第一楽章はゆるやかな序奏から始まる。この序奏は、クララ・シューマンの助言に依っている。(ブラームスとクララの親交については、拙著「私のクラシツク音楽愛聴記の「シューマンの新しい緑」参照)
序奏はピッツィカートで消え情熱的な第一主題と柔和な第二主題が現れ、「元気を出せ、我が弱き心よ」による旋律で終わる。
第二楽章は、渋く哀愁をこめて展開する。
第三楽章は、有名な「死の動機」と「運命の動機」が奏される。思わず口ずさむ。
第四楽章のはじめには、ホルンが朗々と鳴る。ブラームスがクララ・シューマンの誕生日に書いたとされる旋律である。ブラームスがそれにつけた歌詞は「山上高く、谷深く、私は千回もあなたにお祝いの言葉を述べます。」という意味のものだという。
結尾に入り、クライマックスは聖歌による管弦楽で、真に感動的である。
評論家ヘルマンは、「この交響曲を、ベートーヴェンの第九交響曲以後に書かれた最も優れた交響楽で、この作品は、第10交響曲と呼ばれても不当ではない。」と言っている。
また、指揮者ハンス・フォン・ビューローはこの曲を「第10」と呼んだという。いはばロマン派の集大成とみなしたと言えよう。
ブラームスとクララとの人生の結晶ともいえるこの曲に、私はメランコリックと哀愁を感じるのは、繰り返し言うまでもない。他の曲題であれば今日は老骨に鞭打って行くことを止めた日でもあったのに。、
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