2015.1.21 サントリーホール
演題:
リスト 交響詩「レ・プレリュード」
ラフマニノフ パガニーニの主題による狂詩曲 OP43
カセルラ 交響曲第2番 OP63
アンコール曲:
ショパン エチュード「革命」
指揮:
ジャナンドレア・ノセダ
ピアノ:アレキサンダー・ロマノフスキー
今冬最も寒い冷えた夜、凍える心を癒してくれたのは、指揮者ノセダの熱く力強い指揮台の演奏ぶりであった。
この人はワーグナーの指輪の巨人族から地上に舞い降りたような風貌と体格で、終始精力的に指揮棒を振り回した。フルオケの響きが凄い。
リストの交響詩「ㇾ・プレリュード」は、フランス・ロマン派の詩人ラマルティーヌの交響詩に依っている。
「人生は、死が冒頭の厳粛な音を奏でるあの未知の歌への前奏曲ではないのか。愛の幸せは嵐に遮られ、人は野の静寂の中に想い出を鎮める。やがてトランペットが鳴ると戦いに駆けつけ、自分を知り、試そうとする。」と。
第一部:死へと向かう人生の始まり―愛
第二部:嵐(苦悩)
第三部:田園
第四部:闘い
異なった場面が主題を変え変化する、熱く力強い、リストのロマンチズムが展開する。アバトやムーティにつぐイタリア指揮者50歳の円熟した音楽に固唾を呑んだ。
ラフマニノフの作品43は、彼がその独自性から意識的に協奏曲に決別し、狂詩曲とした作品といわれる。悪魔に魂を売り渡したヴィオリニスト:パガニーニの24の奇想曲からの展開である。
中間部では、ゲーテのファウスト伝説の、悪魔よりヴィオリンと恋の技法を手にしたパガニーニが、最後に魂を奪いとられる怒りの日が主題となり、「死の舞踏」が繰り広がるが、ノセダは指揮台上で
舞踏の仕草でワルツ?を踊った。ロマノフスキーは高いキーを巧みに操りながら、ブゾーニ国際コンクール優勝の力を見せた。
カセルラ交響曲第3番は、プッチーニにつぐイタリア作曲家のカセルラの大作だが、種々の作曲家からの影響がみられ、この曲はヒンデミットの影響が強いとされる。40分の長編だ。
クライマックスの音響が強く心に残った。
終わって外は冷雨であったが、心は満ち足りていた。
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