指揮:パーヴォ・ヤルヴィ |
ベートーヴェン作曲:歌劇「フィデリオ」 全二幕
コンサート形式・語り付き 「ロッコの物語」より
横浜みなとみらいホール 2013・11・30指揮者:パーヴォ・ヤルヴィ
演奏:
ドイツ・カンマーフィルハーモニィ管弦樂団
出演者
フロレスタン:ブルクハルト・フリッ
レオノーレ:エミリー・マギー
ロッコ:ディミトリー・イヴァシュチェンコ
マルツェリーネ:ゴルダ・シュルツ
語り:ヴォルフ・カーラー
合唱:東京音楽大学合唱団
1986・12・28 ウィーン国立劇場で歌劇「フィデリオ」を観た。
その時の配役は、ジェームス・キング、ギネス・ジョーンズ、ハンス・ヘルム、クルト・モルといった歴史的名歌手を揃えた公演であった。
あれから数えて27年ぶりの今日、音楽学者平野昭氏によれば「天啓に導かれたような閃きに満ちた指揮者ヤルヴィ」によるフィデリオを 横浜で聴いた。
指揮者ヤルヴィは、明瞭な、まさに閃きに満ちた音響と表情でベートーヴェンの持つ人間への愛を聴かせた。
演奏のドイツ・カンマーフィルハーモニィ管弦楽団は、世界屈指の室内オーケストラで、特にベートヴェンを新基準で演奏すると絶賛されている。ヤルヴィは見事な指揮棒捌きで彼の冴え渡る一点の曇りもない音楽とオペラを演出したと思う。
「フィデリオ」の物語は、無実の罪を着せられた夫フロレスタンを、妻レオノーレが男装して救い出す物語だが、ベートーヴェンが実人生では手に入れることが出来なかった彼の理想の女性観や恋愛感が表現されているとされる。人間性の観念に係累されたベートーヴェンの真髄を観る想いだ。
最終の場面で、「愛が私の努力を導いた。真実の愛に恐れはない」と謳うレオノーレに唱和する民衆の大合唱は、私には交響曲第九番の「歓喜に寄す」で示した自分自身を叱咤し立ち上がるベートーヴェンを想起させた。
歳の所為か、字幕が読みずらく、苦労したが、音楽の魅力を十二分に味わった11月末日であった。
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