2015年1月16日金曜日

サントリーホール チャンバー・ミュジック・ガーデン演奏会



2013.6.13                     サントリー小ホール

演題:
ベートーヴェン

                        大フーガ 変ロ長調OP133

                        弦楽四重奏曲 第16番 ヘ長調 OP!35

                        弦楽四重奏曲 第13番 変ロ長調 OP130

演奏:ボロメーオ・弦楽四重奏団

ボロメーオは、アメリカのクァルテットである。1991年に初来日した。今回は久しぶりの再会である。

小ホールの所為か、音が響かず物足りない気がした。盛り上がりも少なく、感動もなかった。優等生達の音楽演奏だった。

第16番は、ベートーヴェンの晩年の衰えが現れる。第3楽章は、旋律が美しく、哀切極まりない。愛する甥のカールが自殺した直後に書かれた。最後の傑作だろう。

第4楽章は「そうしなければならぬか?」「そうしなければならない。」が反復される。私はアルバンベルグの演奏をCDで聴いているが、この演奏には欠けていて、もっと集中力のある演奏を聴きたかった。

第13番と大フーガについては、井上和雄著<べートーヴェン闘いの軌跡・・・弦楽四重奏が語るその生涯>の189P~198Pが面白く優れた評論である。

井上さんは言う。晩年のベートーヴェンは、自在な芸術創造と、崇高な道徳性を余人は言うが、井上さんは、むしろ人格的な統合力を欠落させていると評する。

彼は弦楽奏者として細部に触れ指摘する。
大フーガOP.133は、13番の結論であるとロマン・ロランは言うが、井上さんはなんと幸せなことを言う人であるかと憤慨する。

私は思う。
あらゆる怒りと哀しみ、原始性がベートーヴェンの本質であり、力なのだ。その原始性こそが、我々の心を揺さぶるのだ、と。

孤独の中にある時、ほどんと一人ぽっちの寂しいすすり泣きの時、私は自分の孤独とベートーヴェンの孤独が触れ合うような気がする。
第13番はその孤独なベートーヴェンの性格・統合力欠落の傑作であると思う。帰路を急ぎながら、自己表現もできないわが身を責めた。


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