2014年10月20日月曜日

ドヴォルザーク:ピアノ協奏曲 OP.33 のLPを聴く

演題:ピアノ協奏曲 OP.33 B.63  1977年(ミュンヘンで録音)

作曲:ドヴォルザーク

指揮:カルロス・クライバー

ピアノ:スヴャトスラフ・リヒテル

交響楽団:バイエルン交響楽団(Bavarian State Orchestra)

35年前、英国版で購入したLPで、日本語の解説はない。
この曲は、ドヴォルザークの作品の内でも最も演奏されない曲とされる。
その為か自分も聴かず、忘れられたレードの一つであった。真新しいジャケットのままであった。ドヴォルザークで唯一のピアノ協奏曲である。

日本ではチャイコスキーとドヴォルザークは、最も演奏回数が多いそうだ。日本人に、北の国のこの二人の作曲家が好かれるのは、北帰趣味があり、悲しみや情緒の表現に使われることが多い為という説がある。なるほど南国へ帰るという表現は見たことがない。

指揮者のクライバーは、稀代の名指揮者であるが、手勢のバイエルンを引き連れての選曲は、この曲に対する肯定的な意向が知れる。
クライバーは自己主張の激しい指揮者だ。嗜好のあわない曲は絶対振らない。
この曲を選曲した趣旨を知りたいものだ。

リヒテルがドヴォルザークを弾くのも、めずらしい。ユーリー・ボリゾゾフ著「リヒテルは語る」(宮沢淳一訳)では、あらゆる作曲家についてリヒテルが言及しているが、ドヴォルザークについての記述はない。やはりクライバー主導での演奏であろう。

さて、見事な演奏だ。詩情豊かな曲だ。暖かい。そして何よりもクライバーの指揮が見事に表現されている。細部にわたり繊細な配慮が行き渡っていて、心地よく聴けるのである。一切の目的意識から解放された音に聞こえる。
思いがけない天空の新星を、新しく見つけたような気分になった。

私は世評を基準に音楽を聴いているのではない。自分が感動できる音楽が、私の音楽なのだ。

 






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