モーツァルト:弦楽四重奏全集(アマデゥス)の内袋の記載
偶々見つけた中古レコード店で購入したが、5枚のレコード内袋にそれぞれの曲名が見事なアルファベットで記入されている。そして箱書きに,<S.57.4.21002-6 England>と同じ筆蹟で記されている。1002-6は整理番号だろうか?
私は、この人の音楽に対する姿勢に慄然とする。初体験であった。
そして私は後日またこの人に再会した。勿論再会はレコードを通してである。<ベートーヴェン中期弦楽四重奏集(アルバン・ベルグ)>であった。見慣れた懐かしい筆蹟があり、<APRIL 2.1983 TANDY'S1124-6>との箱書きである. 更に後日,<モーツァルト弦楽四重奏全集(バリリ&ウィーン・コンチェルトハウス)>で出会った。7枚組でしかもWesteminster盤だ。迷わず購入した。<S.49.3.21>と記されてある.この人のレコードは実に丁寧に扱っていて、傷などなく然も演奏が良い。私はこの人を想い乍ら心地よく聴くのである。
これら3度の奇遇を通して、この人を想い乍ら聴く弦楽曲は、感慨深い。昨今「メル友」なるものが存在しているが、中身は違うと思いたい。それにしても、恐らくこの人にとって大切なレコードが処分されて売られているのは、遺族が処分したのだろうか。レコードの演奏は残るが遺志は残らなかったのだ。高名な音楽評論家であったかも知れない。アルファベットの達筆とENGLANDと書かれているのは、外国暮らしの経験がある人かもしれない。日づけのSから昭和を示し日本人のようだ。TANDY'Sの署名らしき書き込みもある。空想すると愉しい。これも音楽の取り持つ縁だ。
人生では、懐かしい人に3度の偶然の出会いは難しいというのに。

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