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演題:ロッシーニ
歌劇「アルジェのイタリア女」序曲
メンデルスゾーン 交響曲第4番 OP90「イタリア」
ベートーヴェン 交響曲第2番 ニ長調 OP36
ワグナー 「リエンチ」序曲
指揮:ネルロ・サンティ
肥満した巨体の83歳を迎えるイタリアの名匠ネルロ・サンティは、ペンギンのヨチヨチ歩きで指揮台に上った。60ものオペラを暗譜で指揮するというこの人は,同じイタリア生まれのアバトやムーティの華やかさはないにしろ、自在にオーケストラを操ることで知られている。N饗との共演は15年に及ぶ。
今日のプログラムは、彼の最も得意とする分野の曲が選ばれた。
ロッシーニの歌劇序曲は、弦のピッチカートではじまり、のびやかなオーボエが続き、実に心地よい気分になる。その軽快な指揮棒には懸念した老弱のかけらさえなかった。最終の盛り上がり(クレシェンド)で、コントラバスの早い演奏が効果的であった。なお、コントラバス8奏者の位置が舞台の左後ろに並び、奇異に感じたが調べるとサンティの常道であるという。何故だろう?メンデルスゾーンの「イタリア」は、第一楽章は明るい豊かな自然に輝くイタリアの印象が反映されたイ長調主和音の響きがいい。
最終第4楽章ではイタリアの激しい民族舞踊が斬新に聴こえた。とてもなじめるいい曲だと思った。
ベートーヴェンの第2番交響曲は、かって聴いた時はまるでモーツァルトと感じた記憶があるが、今回はベートーヴェンらしいエネルギッシュな曲との印象をもった。
ハイリゲンシュタットの遺書を書く直前の曲であり,生気に溢れている。ベートーヴェンの音楽にはその表現の強靭さに驚くのだが、その点ではまだ不充分にも思われた。
ワグナーの「リエンチ」は、ブルワー・リットンの小説「リエンチ・最後の護民官」から台本を書き、作曲したものだが、まだ無名の音楽家時代の頃であったが、完成2年後ドイツで上演され、大成功を収め、宮廷指揮者となった因縁付の曲である。
最終のダイナミックなクライマックスへの爆走が印象に残る。
サンティの「至芸」を目で確かめた(加藤浩子氏の評)コンサートであった。

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