2016年8月14日日曜日

私のクラシック音楽愛聴記: 小菅優ピアノ・リサイタルを聴く

私のクラシック音楽愛聴記: 小菅優ピアノ・リサイタルを聴く: 2016.2.13    神奈川県立音楽堂 演奏者:小菅優 演題: シューマン/蝶々OP。2 ブラームス/バラード集OP。10 ベートーヴェン/ピアノ・ソナタ第31番変ィ長調OP。110   アンコール シューマン;アラベスク シューマン;献呈(リスト編) ...

2016年5月27日金曜日

N響定期演奏会(1837回)を聴く

2016.5.26    サントリーホール

指揮:ネーメ・ヤルヴィ

演題:
    シューベルト 交響曲第7番 ロ短調 「未完成」D。759

    プロコフィエフ 交響曲第6番 変ホ長調OP。111


この指揮者は、カラヤン、マリナーに次ぐ録音を残す巨匠であり、旺盛な活動は機能的で効率的な演奏を達成できる彼の資質に依ると云う。N響の指揮は今度は3回目である。

今夜の演奏にも、テンポの速さ、こだわりのない誇張のないところにそれが窺われた。

[未完成」はロマン的な響きが多く、まだ短調交響楽が少なかった時代に、シューベルトは見事に謳いあげた曲だが、淡々と演奏し,心が軽くなったように感じた。第2楽章の第2主題では、クラリネットが哀愁を帯びた旋律を響かせた。

プロコフエフの第6番はこの指揮者の最も得意な曲であるという。プロコフエフは7曲の交響曲を書いたが、難渋を極めた沈痛で憂鬱な曲だ。しかし軽快なテンポで、むしろ軽く楽しむように指揮が行われたように感じた。高齢な事もあってか1時間40分で演奏が終わりアンコールも無かった。




2016年4月29日金曜日

ポリーニ・プロジェクト

ポリーニ・プロジェクト  2002in tokyo  サントリーホール 2002.11.6
アンサンブル・ウィーン=ベルリン アツカルド弦楽四重奏団
ピアノ:マウリツィオ・ポリーニ


2016年4月22日金曜日

「ダフニスとクロエ」を聴く

すみだトリフォニーホール   2016.4.22

新日本フィルハーモニー管弦楽団定期演奏会(557回)

指揮:準・メルクル


j説明を追加

演題:

プーランク  組曲「牝鹿」FP36

フォーレ   パヴァ―ヌ OP.50

ラヴェル   「ダフニスとクロエ」(全曲

演題はフランス音楽から3曲選曲されたが、ラベルの「ダフニスとクロエ」で、準・メリクルは彼の指揮棒を心地よく、颯爽と振った。

ラベルにバレエの作曲を依頼したのは、ソヴィエトの著名なバレエ主宰者のディアギレフで、物語の原作はコモンズである。1912年作曲が完成した。

物語の筋は、祭壇に捧げられる宗教的な踊りの中で、クロエをダフニスは愛するようになる。しかし海賊がクロエを拉致する。3人のニンフが神秘的な踊りにより、パンの神に祈らせて、その力でクロエは解放される。

この曲の魅力は、ラベルの自伝に詳しい。ラベルは語る「この作品は、非常に厳格な音組織に基づき、交響曲のような構成を持つ。
主題の展開が全曲を通して様式の同質性をもたらしている。

構成は 第1部 パンの神とニンフの祭壇の前

     第2部 海賊ブリュアクシスの陣営
 
     第3部 祭壇の前

「第一組曲」と「第二組曲」は、ほぼ同じように展開される。

冒頭低音ィの音の積み重ねから、ホルンによる動機、フルートによる主題が切れ目なくつづき、舞曲となる。その心地よさ!
次に、荒々しい海賊たちの戦いの踊り、クロエの優しい踊りが聴く人を陶酔させる。
第三部は、夜明け・無言劇・全員の踊りと展開し全管弦楽による爆発的な歓喜の中でクライマックスで終わる。らベル作品の中で、展覧会の絵、ボレロと並ぶ人気はおそらく将来も失われることはないと感じた。私は、ミュンシュ、アンセルメ、クリュイタンスノ指揮によるこの曲をLPdで聴いてきたが、メルクルの指揮はまさに現代の響きをもった括目すべき演奏だった。

因みに彼は日本人の母とドイツ人の父から、ミュンヘンで生まれ、86年にドイツ音楽評議会の指揮者コンクールで優勝ふらんす芸術文化勲章を受章している。
バーンスタインや小澤征爾に師事した。全身を駆使した指揮ぶりは、職人的な指揮者の凄さをもっている。今後も楽しみだ。


2016年2月28日日曜日

2016都民芸術フェスチバル


2016都民芸術フェスティバル/オーケストラ・シリーズを聴く

2016.2.26  東京芸術劇場コンサートホール 00演奏:NHK交響楽団

指揮:リオネル・ブランギエ                         

ヴィオリン:アラベラ・美歩・シュタインバッハ

演題:

チャイコフスキー;ヴィオリン協奏曲二長調 作品35

アンコール:イザイ/無伴奏ヴィオリン・ソナタ第2番第3楽章

ドヴォルザーク/スラブ舞曲第1

ムソルグスキー;組曲「展覧会の絵」(ラヴェル編)

第一曲は「ニ長調四大ヴァイオリン協奏曲」(ベートーヴェン、メンデルスゾーン、ブラームス)の一つである。ヴィオリン奏者はミュンヘンに住むドイツ人の父と日本人の母に生まれた美歩さんである。日本音楽財団貸与のストラデヴァリウス「ブース」を駆使している。

聴き慣れた第一主題と第二主題が繰り返され、チャイコフスキーの甘美な旋律が心に沁みわたるようだ。美歩さんは、節の終わりに弦を丸く輪を描くように弾く。鳴りやまぬ拍手に応えて、イザイとドヴォルザークを弾い   た。ともに静寂な感じの曲であった。

 

「展覧会の絵」ムソルグスキ―が10の絵画を見ながら会場を歩む足音に挟みながらロシアの民族的哀愁を、色彩感を交えて作曲した。そして約50年後、指揮者クーゼヴィツキ―の依頼でラヴェルがオーケストラに編曲したものである。

大変親しみの持てる組曲である。

 

 
 

2016年2月19日金曜日

小菅優ピアノ・リサイタルを聴く

2016.2.13    神奈川県立音楽堂

演奏者:小菅優
演題:
シューマン/蝶々OP。2
ブラームス/バラード集OP。10
ベートーヴェン/ピアノ・ソナタ第31番変ィ長調OP。110  

アンコール
シューマン;アラベスク
シューマン;献呈(リスト編)
シューマン;詩人のお話し(子供の情景より)

小菅は若手ピアニストのうち最も将来のある人だと思う。彼女の高度の技巧からのタッチの微妙な音の美しさは、群を抜いている。有名オケとの共演や受賞歴は数多い。舞台上の態度も大物で肝が据わっているように見える。曲の解釈でも確信を持っているようだ。
私は内田光子は別格としても、小菅優はさらに世界的な飛躍をとげるよう祈るのである。

蝶々」は文学少年でもあったシューマンが、ドイツの小説「生意気盛り」の最終に触発されて19歳の時作曲したという。筋は<、双子の兄弟が同じ一人の女性に恋心を抱き仮面舞踏会で兄弟の一人が告白し女性は受け入れるのです。譲った方は、相手の幸せを願いながらさってゆく>・・・蝶の舞にも似た女性の様子がシューマンの19歳の青年の心に落とした影を感じさせます。

バラード集」は、シューマンが精神病で入院中、夫シューマンと妻クララを気遣ったブラームスが、このバラードを書き慰めた。バラードは中世の詩や物語を音楽的に表現したもので、ブラームスの恩師夫妻にたいする不安定な旋律も現れます。

31番ソナタは、最後のソナタ32番のひとつ前の作品で、温かく美しい第一楽章、「嘆きの唄」の悲痛なメロディ、そして達観した圧巻の終結は、32番と並ぶ名作と言える

小菅のアンコール曲は、シューマンの3曲を淡々と弾いた。「詩人のお話し」などは帰路で口ずさむほど美しく感じた。

2016年2月1日月曜日

小澤征爾音楽塾オペラプロジェクトⅠ

小澤征爾音楽塾オペラプロジェクトⅠ、歌劇「フィガロの結婚」を観る

2000.6.01  神奈川県民ホール

指揮:小澤征爾
演出:デイヴィド・ニース
台本:ダ・ポンテ
管弦楽:小澤征爾音楽塾オーケストラ
合唱:小澤征爾音楽塾合唱団

配役:
アルマヴィーヴァ伯爵/オラフ・ベーア
伯爵夫人/クリスティーン・ゴーキ
スザンナ/ヌッチア・フォチレ
フィガロ/ジェラルド・フィンリー
ケルビーノ/ルクサンドラ・ドノーゼ小澤征爾が日本、アジアの若い音楽家の水準向上を図り、彼が音楽の全てを教わった故人斎藤秀雄先生の弦楽重視を実践しようとして立ち上げた小澤音楽塾の第1回目の上演を観た。
90名に上るメンバーの中には宮本文昭などその後活躍した人材が輩出している。

小澤は過去シャルル・ミンシュ、カラヤン、バーンスタインという名指揮者の指導を受け、2002年から、ウィーン国立歌劇場総監督を務めた。まさに世界に誇る日本人指揮者だ。

小澤さんにとつては音楽の基礎は、斎藤先生から教わった弦の響きだ。そしてオペラも得意だ。
パリ・オペラ座での「ァッシジの聖フランシスコ」の名演、サイトウ・キネン・オーケストラの創立、
彼の音楽への情熱は衰えることがない。数々の対談集、村上春樹、大江健三郎、武満徹には、それを強く読み取る事が出来る。

今回は、モーツァルトの「フィガロ」をとりあげた、かれの人脈を生かし世界から適材を配置した。
小澤ならではできない顔ぶれである。すべて世界の大舞台で活躍中の歌手である。オラフ・ベアの美声はすでにシューべルト・リサイタルで聴いていたので懐かしく感じたし、フイガロのフィンリーは初期は小澤の門下生で、今は世界の劇場で唄っている。


「フィガロ」の物語の筋は今更いうまでもないので、他稿にゆずるが、モーツァルトは最初は「フィガロ」は乗り気でなかった。しかしダ・ポンテの台本改良により生きかえった。ウィーンでは不評であったが、プラハ初演は、大成功を収めたのである。
それは日常生活にある様々な愛情関係の表現が階層を超えた時点の表現を、単なる喜劇でなく現したからであろう。

なお、オペラプロジェクトⅦは「フィガロの結婚」を再度上演たので、私は観た。14年間の年月が経過していた。
2014.3.16よこすか芸術劇場での上演配役は、指揮者:小澤と
演出デヴィト・ニース以外は全て歌手は重複がなかった。しかも主役は外人の名立たる歌手達だった。

私は、14年間の小澤征爾の活動を見てきたが、改めて巨匠の音楽に対する真摯な感情に打たれた。