2016.2.13 神奈川県立音楽堂
演奏者:小菅優
演題:
シューマン/蝶々OP。2
ブラームス/バラード集OP。10
ベートーヴェン/ピアノ・ソナタ第31番変ィ長調OP。110
アンコール
シューマン;アラベスク
シューマン;献呈(リスト編)
シューマン;詩人のお話し(子供の情景より)
小菅は若手ピアニストのうち最も将来のある人だと思う。彼女の高度の技巧からのタッチの微妙な音の美しさは、群を抜いている。有名オケとの共演や受賞歴は数多い。舞台上の態度も大物で肝が据わっているように見える。曲の解釈でも確信を持っているようだ。
私は内田光子は別格としても、小菅優はさらに世界的な飛躍をとげるよう祈るのである。
「蝶々」は文学少年でもあったシューマンが、ドイツの小説「生意気盛り」の最終に触発されて19歳の時作曲したという。筋は<、双子の兄弟が同じ一人の女性に恋心を抱き仮面舞踏会で兄弟の一人が告白し女性は受け入れるのです。譲った方は、相手の幸せを願いながらさってゆく>・・・蝶の舞にも似た女性の様子がシューマンの19歳の青年の心に落とした影を感じさせます。
「バラード集」は、シューマンが精神病で入院中、夫シューマンと妻クララを気遣ったブラームスが、このバラードを書き慰めた。バラードは中世の詩や物語を音楽的に表現したもので、ブラームスの恩師夫妻にたいする不安定な旋律も現れます。
31番ソナタは、最後のソナタ32番のひとつ前の作品で、温かく美しい第一楽章、「嘆きの唄」の悲痛なメロディ、そして達観した圧巻の終結は、32番と並ぶ名作と言える。
小菅のアンコール曲は、シューマンの3曲を淡々と弾いた。「詩人のお話し」などは帰路で口ずさむほど美しく感じた。
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